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【相続税】無償で貸付している土地でも小規模宅地特例が適用できると認めた事例 平成13年1月31日判決

  • 執筆者の写真: FLAP 税理士法人
    FLAP 税理士法人
  • 2 日前
  • 読了時間: 2分

🏛️ 裁判の概要

項目

内容

争点

相続開始時点で、賃貸人が賃借人に「無償」で貸していた宅地について、小規模宅地特例(租税特別措置法69条の4)の適用を認めるべきか?

経緯

- 被相続人は生前、第三者に土地を貸していた。


- 被相続人が死亡する前に「明渡請求訴訟」を提起し、明渡猶予付きの和解成立。


- 和解条項に基づき、猶予期間中は形式上「無償」での貸付状態。


- 相続開始時点はこの「無償貸付」期間中だった。

国側の主張

「無償」での貸付であり、租税特別措置法上の「事業用宅地」に該当しない(評価減特例は適用不可)。

原告側の主張

賃貸借契約は終了しておらず、猶予期間中であっても事業としての貸付けは継続していた。形式的な「無償」状態のみを理由に適用を否定するのは不当。



⚖️ 裁判所の判断

判断内容

詳細

小規模宅地特例の適用可否

適用を認めるべきと判断

主な理由

- 明渡猶予期間中であっても、被相続人(貸主)は賃貸事業の「経済的活動」を継続していた。


- 形式的に賃料相当額が支払われていないことのみをもって「営利性・有償性が欠ける=事業に該当しない」とは言えない。

重要ポイント

- 「事業性」の判断は、単なる賃料の有無だけでなく、継続的な経済活動の実態を重視すべき。


- この事例では、貸主は自己の計算と危険負担のもとで、裁判を経て土地明渡しを求める経済活動を行っていた。


- 相続開始時点においても賃貸事業が完全に終了していたわけではない。


📝 実務上のポイント

ポイント

内容

形式的「無償」だけで特例否定NG

賃料の不払い(形式的な「無償貸付」状態)だけを理由に、安易に特例不適用と判断するのは不当。実態を重視する必要あり。

「経済活動の継続性」の確認が重要

賃料未収中であっても、賃貸人が明渡請求等を行い、貸付事業を継続しようとする意思・行動があれば、事業用宅地と認められる可能性が高い。

裁決・通達との関係

この裁判例は、国税庁の通達(租税特別措置法通達69の4-6【事業用宅地等の範囲】)の「無償貸付=事業用に該当しない」という一般的な取扱いに対して、実態を重視する重要な判断を示した。


🧭 結論(簡潔なまとめ)
  • 相続開始時において「無償貸付」の状態にある宅地であっても、 賃貸事業としての経済活動が継続していれば、 小規模宅地等の特例の適用を否定すべきではない


  • 「無償」の事実はあくまで判断材料の一つに過ぎず、事業の実態を総合的に考慮する必要がある。

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