
空き家の特例とは?
被相続人が一人暮らし?
相続後3年目の年末までに売却
1 空き家の特例

被相続人の居住の用に供していた家屋及びその敷地等を相続した相続人が、相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、一定の要件を満たして当該家屋又は土地を譲渡した場合には、当該家屋又は土地の譲渡所得から3,000万円を特別控除できる制度です。
項目 | 要件 |
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適用期間 | 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで売却 |
対象となる不動産 | 被相続人の一人で住んでいた自宅で、 次の3つの要件すべてに当てはまるもの 🔵昭和56年5月31日以前に建築されたこと 🔵区分所有建物登記(マンションなど)がされている建物でないこと。 🔵被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと。 |
譲渡価格 | 🔵1億円以下(固定資産税清算金含む) |
譲渡方法 | 🔵自宅を耐震リフォームして売却 🔵自宅を解体した後に更地にして売却 ※ただし令和6年より 買主が譲渡の翌年2月15日までに耐震リフォーム又は自宅解体を行った場合も適用可能となった。(売買契約書 特約記載) |
特別控除額 | 相続人が 🔵2人まで 1人当たり3,000万円 🔵3人以上 1人当たり2,000万円 |
令和6年改正による買主が耐震リフォーム又は建物解体工事をする場合の売買契約書の特約の記載例(出展:国道交通省)


注意 取得費加算の特例とは併用不可

空き家の3,000万円特別控除の特例を受けるためには、税務署へ下記の書類を添付する必要があります。
添付書類
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譲渡所得の内訳書【土地・建物用】
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被相続人居住用家屋及びその敷地等の登記事項証明書
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売買契約書のコピー
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被相続人居住用家屋等確認書(市町村からの証明書)
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被相続人居住用家屋の耐震基準適合証明書又は建設住宅性能評価書のコピー
市町村への確認書申請書に添付する書類
必要書類 | 確認事項 |
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被相続人の 住民票の除票 | 被相続人の自宅であることの確認 |
当該自宅を相続した相続人全員の 住民票 | 死亡日から取壊時までの間に相続人が居住していなかったことの確認 |
売買契約書のコピー | 譲渡日及び空き家特例の条件の確認 |
登記事項証明書 | 当該自宅を取得した相続人の確認 ※1人名義換価分割などの場合は遺産分割協議書 |
建物の閉鎖事項証明書 | 建物の取り壊しと時期の確認 |
耐震基準適合証明書又は建設住宅性能評価書のコピー | 耐震リフォームを行ったことの確認 |
電気、ガス又は水道の閉栓や契約廃止がわかるもの | 空き家であったことの確認 |
仲介業者の広告 | 空き家の確認 広告に「現況空き家」や「空き家解体済みの更地」などの記載が必要 |
更地の写真 | 自宅以外に利用されていないことの確認 |
2 空き家の耐震工事・建物解体の補助金制度

全国の空き家の戸数は900万戸(総務省調べ:2023年10月現在)
空き家法の改正(2023年12月)によりこれまでは倒壊の危険性がある家(特定空き家)として認定されると固定資産税が6倍に増えてしまうことになっていましたが、さらに改正により、住まなくなった家を放置し、特定空き家になる可能性がある家(管理不全空き家)と認定された場合、固定資産税が3倍になる恐れがあります。
管理不全空き家とは、「特定空き家」になる可能性がある空き家です。
管理不全空き家の判断基準
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空き家の基礎の相当部分が破損
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屋根に穴があいている
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外壁の下地材が複数個所露出
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窓が破損
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空き家が主要な道路や通学路沿いにある
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不法投棄でゴミだらけの家など
特定空き家とは、1年以上住んでいない、利用されておらす、管理がされていない状態の空き家で、倒壊の危険性や衛生面で有害となる状態の空き家を指します。
特定空き家の判断基準
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屋根や壁、窓ガラスなどが飛散し、人体に危害を及ぼす状態の空き家
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著しく倒壊の危険性がある空き家
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悪臭があり、周囲の日常性津に支障を及ぼしている空き家
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庭の雑草や立木が生い茂り、著しく景観が損なわれている空き家
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門扉が壊れている、施錠がされていないなど人が容易に侵入できる空き家
空き家として認定され固定資産税の増額を回避するためには、
・適切な管理をする
・賃貸する
・耐震改修工事や解体をして売却する
などの方法があります。

適切な管理をする
適切な管理するとは、主に
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庭木の剪定をする。
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敷地内の清掃
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窓、壁、屋根の破損の点検
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トイレの通水
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通気、換気
などが挙げられます。
詳細は
↓の国土交通省空き家管理のチェックリストを参考にしてみてください。
【参考】国土交通省 空き家管理チェックリスト
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001720159.pdf

耐震改修工事や解体をして売却する。
空き家の活用の見通しが立たない場合は、周囲への影響が及ばないうちに耐震改修工事や解体することが重要です。
一定の要件を満たす建物の耐震改修工事や解体をする場合には、その費用の一部を30万円~100万円程度補助する制度があります(各自治体により補助額と条件が異なります。)。
一般的な要件
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昭和56年3月31日以前に建築された木造建物
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個人所有の戸建て
【参考】
大阪市 狭あい道路沿道老朽住宅除却促進制度 最大200万円(集合住宅)
https://www.city.osaka.lg.jp/toshiseibi/page/0000531835.html
大阪市 民間戸建住宅等の耐震診断・改修等補助制度 最大100万円
https://www.city.osaka.lg.jp/toshiseibi/page/0000370839.html
原則一時所得に該当しますが・・・。
個人が国や地方から補助金を受け取った場合は、一時所得に該当します。
一時所得の所得の計算は、
(収入金額 - 50万円)× 1/2
となるため、補助金が50万円以下であれば所得は発生しません。
空き家の補助金については、所得税法42条、44条により所得は発生しません。
【参考】国税庁:市の空家等除却支援事業補助金交付要綱に基づき交付される補助金の課税上の取扱いについて
https://www.nta.go.jp/about/organization/hiroshima/bunshokaito/shotoku/009/besshi.htm
区分 | 取り扱い |
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空き家をリフォームした場合 | 所42条 国庫補助金等の総入金額の不算入の規定により確定申告書の提出を要件として課税されない |
空き家を解体した場合 | 所44条 移転等の支出に充てるための交付金の総収入金額不算入の規定により定申告書の提出を要件として課税されない |
空き家を解体して新築した場合 | 新築の対価から控除した金額が新築の対価となる |
空き家を解体して、土地を売却した 場合 | 不動産の譲渡所得の計算上、必要経費に被解体費用を計上する場合は、解体費用から補助金を控除する。 |