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小規模宅地等の特例とは?
家なき子って?
老人ホームに入居の場合は?
小規模宅地の特例って?
1 小規模宅地等の特例とは?

小規模宅地等の特例とは、被相続人又は親族の事業用や居住用に使用されていた宅地を
親族が相続した場合に、
要件を満たす宅地については、
評価額を最大80%減額できる特例です。

小規模宅地等とは、主に次の4つの宅地に分けられます。
1特定事業用
2特定同族会社事業用
3特定居住用
4貸付事業用
1+2で特定事業用等宅地といいます。
以下で各小規模宅地等の種類と要件を見ていきましょう。

❶特定事業用宅地等
被相続人や生計一親族の事業用に利用されていた宅地で
申告期限までに
その事業を営み、保有しているもの
(注)
🔴相続開始前3年以内に開始した事業用は対象外
🔴ただし、新たに開始した事業用の資産がその宅地の15%以上であれば対象
🔴被相続人が前の相続で3年以内開始事業を引き継いだ宅地は対象
🔴事業用資産に係る納税猶予の適用を受ける場合は適用できません。

➋特定同族会社事業用宅地等
被相続人や親族の持ち株数が50%超である同族法人の事業用に利用されていた宅地で
申告期限まで
🔴取得者がその法人の役員
🔴保有している
ことが必要です。
また次のことにも注意が必要です。
🔵その法人から相当の対価の地代を得ている
🔵被相続人が役員や株主でなくてもよい
🔵その法人の事業が不動産貸付業でない
🔵取得者は株主でなくてもよい

➌特定居住用宅地等
被相続人や生計一親族の自宅(老人ホームに入居している場合も要件により自宅とみなす)として利用されていた宅地で
被相続人と同居していた親族が取得し、
申告期限まで
🔴引き続き自宅として利用し
🔴保有している
ことが必要です。
また同居の例外として次の要件を満たす別居親族(家なき子)が取得した場合でも適用できます。
🔴被相続人の配偶者及び同居法定相続人がいない
🔴3年以内に日本国内にある自己や親族の所有家屋に住んだことがない
🔴取得者が住んでいる家屋を過去に所有したことがない
🔴申告期限まで保有している
また次のことにも注意が必要です。
🔵配偶者は保有継続要件はない
🔵区分所有登記されていない二世帯住宅も適用可能
🔵親の土地に自宅を建てている親族でも生計一なら適用可能

➍貸付事業用宅地等
被相続人や生計一親族の貸付事業用に利用されていた宅地で
申告期限までに
その事業を営み、保有しているもの
🔴相続開始前3年以内に開始した事業用は対象外
🔴ただし、3年以上前より事業的規模(5棟10室以上)で貸付事業を行っていた場合は対象。

小規模宅地等の種類によって、減額される割合と適用できる面積に制限がありますので以下で見ていきましょう。
小規模宅地等の種類と減額割合
区分 | 限度面積 | 減額割合 |
---|---|---|
特定事業用等宅地等 | 400㎡ | 80% |
特定居住用宅地等 | 330㎡ | 80% |
貸付事業用宅地等 | 200㎡ | 50%
|
限度面積の計算
特定事業用等宅地と特定居住用宅地のみの場合
730㎡まで<=特定事業用等 400㎡以下 + 特定居住用 330㎡以下
貸付事業用宅地がある場合
200㎡まで
<=特定事業用等面積×200/400 + 特定居住用等面積×200/330 + 貸付事業用面積

上述したように小規模宅地等の特例を適用するには、面積に制限があります。
そのため、複数の宅地がある場合は、減額が最大限になるように選択する必要があります。
2下記の大きい単価から優先適用した場合の減額金額
▨特定事業用等宅地の㎡単価×3.2倍
▨特定居住用宅地の㎡単価×2.64倍
▨貸付事業用宅地の㎡単価×1倍
1特定事業用等宅地(特定事業用と特定同族会社事業用)と特定居住用を併用した場合の減額金額
2 小規模宅地等の特例の添付書類とは?

この特例の適用を受けるためには、相続税の申告書に、この特例の適用を受けようとする旨を記載するとともに、
小規模宅地等の種類ごとに係る計算の明細書や遺産分割協議書の写しなど一定 の書類を添付する必要があります。
以下で種類ごとの添付書類を見てみましょう。
必ず提出が必要なもの
🔵遺産分割協議書又は遺言書のコピー
🔵相続人全員の印鑑証明書の原本(遺産分割協議書に押印した実印)
🔵被相続人及び相続人全員の戸籍謄本等又は法定相続情報一覧図のコピー
種類 | 添付書類 |
---|---|
特定事業用宅地等 | ▨添付書類なし |
特定同族会社事業用宅地等 | 🔵法人の定款の写し 🔵法人の登記事項証明書と株主名簿 |
特定居住用宅地等 | 🔵配偶者 ▨要件なしのため添付書類不要 🔵同居親族 ▨マイナンバー有りなら添付書類不要 🔵家なき子 ▨戸籍の附票の写し ▨相続する家屋の登記事項証明書 ▨賃貸借契約書 🔴被相続人が老人ホームへ入居していた場合 ▨被相続人の戸籍の附票の写し ▨介護保険の被保険者証のコピー(要介護、要支援の認定を受けていたことがわかるもの) ▨老人ホームの契約書のコピー(老人福祉法等で定められた施設であることがわかるもの) |
貸付事業用宅地等 | ▨添付書類なし 参考に不動産賃貸契約書 ▨3年以内に新たに貸付事業の用である宅地について、 賃貸契約書や所得税の確定申告のコピー(3年を超えて特定貸付事業を行っていたことがわかるもの) |
3 申告期限までに遺産が未分割の場合

相続税の申告期限までの間に、小規模宅地の特例を受けようとする宅地の協議が行われていない場合は、このの特例を受けることができません。
ただし、次の場合の手続きにより特例を受けることができます。
🔵申告期限までに分割されなかった場合
相続税の申告書と併せて「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出し、
申告期限から3年以内に分割された場合、分割された日の翌日から4カ月以内に限り、小規模宅地の特例を適用して更正の請求(相続税の還付請求)をすることができます。

🔵申告期限から3年以内分割されなかった場合
さらに「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」を申告期限後3年を経過する日の翌日から2か月を経過する日までに税務署へ提出承認を得て、
その後分割された場合、その翌日から4カ月以内に限り、小規模宅地の特例を適用して、更正の請求(相続税の還付請求)をすることができます。

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