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【相続税】両親が相次いで亡くなり、一人相続人となった場合は、配偶者の税額軽減と小規模宅地の特例が適用できるか?

  • 執筆者の写真: FLAP 税理士法人
    FLAP 税理士法人
  • 3 日前
  • 読了時間: 3分

遺産分割前に相続人が死亡した場合の取扱い(相続税額の軽減・小規模宅地等の特例・一人遺産分割)
1️⃣ 配偶者が遺産分割前に死亡した場合の配偶者の税額軽減(相法19の2)
  • 原則 → 3年以内の分割が要件。
  • 配偶者が分割前に死亡した場合 → 分割できないため、軽減適用は本来不可。
  • 実務取扱い(相基通19の2-5) → 残った相続人による分割で配偶者の取得分が確定すれば、その配偶者が取得したものとみなし、軽減を適用可能。

19の2-5 相続又は遺贈により取得した財産の全部又は一部が共同相続人又は包括受遺者によって分割される前に、当該相続(以下19の2-5において「第1次相続」という。)に係る被相続人の配偶者が死亡した場合において、第1次相続により取得した財産の全部又は一部が、第1次相続に係る配偶者以外の共同相続人又は包括受遺者及び当該配偶者の死亡に基づく相続に係る共同相続人又は包括受遺者によって分割され、その分割により当該配偶者の取得した財産として確定させたものがあるときは、法第19条の2第2項の規定の適用に当たっては、その財産は分割により当該配偶者が取得したものとして取り扱うことができる。(昭47直資2-130追加、昭50直資2-257、昭57直資2-177、平17課資2-4、令元課資2-10改正)


2️⃣ 共同相続人が分割前に死亡した場合の小規模宅地等の特例(措法69の4)
  • 原則 → 3年以内の分割が要件。
  • 分割前に相続人が死亡した場合 → 分割できないため、本来特例適用不可。
  • 実務取扱い(措通69の4-25) → 残った相続人が分割し、死亡した相続人の取得分を確定すれば、その相続人が取得したものとみなし、特例適用可能。

(共同相続人等が特例対象宅地等の分割前に死亡している場合)           69の4-25 相続又は遺贈により取得した特例対象宅地等の全部又は一部が共同相続人又は包括受遺者(以下69の5-11までにおいて「共同相続人等」という。)によって分割される前に、当該相続(以下69の4-25において「第一次相続」という。)に係る共同相続人等のうちいずれかが死亡した場合において、第一次相続により取得した特例対象宅地等の全部又は一部が、当該死亡した者の共同相続人等及び第一次相続に係る当該死亡した者以外の共同相続人等によって分割され、その分割により当該死亡した者の取得した特例対象宅地等として確定させたものがあるときは、措置法第69条の4第1項の規定の適用に当たっては、その特例対象宅地等は分割により当該死亡した者が取得したものとして取り扱うことができる。


3️⃣ 一人遺産分割はできない(中間省略登記の可否)
  • 数次相続により最終的に相続人が一人となった場合 → 相続開始時に財産は既に承継済であり、遺産分割協議を行う余地はなし。
  • 実務上も裁判例(東京高裁H26.9.30)で「単独相続人による遺産分割」は否定。
  • よって、一人での遺産分割協議書作成や中間省略登記は不可。
  • 中間省略登記は認められず、A→B→Cの順での登記が必要。

4️⃣ 分割の意義(相基通19の2-8、措通69の4-25)
  • 「分割」とは、法的な遺産共有状態を解消し、具体的持分を確定する行為。
  • 現物・代償・換価の方法、協議・調停・審判の手続きは問わない。
  • 法定相続分はあくまで「抽象的な持分」であり、分割協議で具体化する必要がある。
  • 一人相続人では分割協議を行う余地がないため、分割の要件を満たせない。

5️⃣ 結論
✅ 配偶者が分割前に死亡 → 他の相続人による分割で配偶者の軽減適用可能(相基通19の2-5)。
✅ 相続人が分割前に死亡 → 他の相続人による分割で特例適用可能(措通69の4-25)。❌ ただし、一人相続人の場合 → 分割は不要かつ不可能であり、軽減・特例の適用は受けられない。
✅ 法定相続分=抽象的な割合に過ぎず、分割確定しない限り、特例適用は認められない。

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