親が認知症の場合の相続手続き
- FLAP 税理士法人
- 6 時間前
- 読了時間: 2分

認知症の親が相続人である場合、特に問題となるのは、意思能力がなくなっているときです。
以下、状況別にわかりやすく整理します。
認知症の親が「相続人」となる場合の最大の問題点:
✅遺産分割協議ができない
遺産分割は、法定相続人全員の合意が必要です(民法907条)。
ですが、親が認知症で「意思能力を失っている」と判断される場合――
➤ 単独で遺産分割に参加させると、その協議は 無効 になります。
解決方法:成年後見制度の利用(民法第7条)
家庭裁判所に申立てて「成年後見人」を選任してもらい、
その人が認知症の親に代わって遺産分割協議に参加します。
📌 成年後見人が必要になる典型例:
高齢の父が認知症を患っていて、母や兄弟と遺産を分け合う必要がある
父の通帳が使えず、家庭裁判所の許可を得て財産管理を行いたい
成年後見申立ての流れ
❶家庭裁判所に「後見開始の申立て」
➋医師の診断書(成年後見用)提出
❸審問・調査の上、後見人が選任される(通常1〜2か月)
❹後見人が遺産分割協議に参加・署名
❺不動産や預貯金の名義変更手続などを進める
⚠ 注意点①:
親が遺産をもらう側でも、協議には後見人が必要
相続でもっとも誤解されがちなのがここです:
「親に不利益がなければ問題ないでしょ?」
➡ ✕ 無効になります!
→ たとえ形式的に不利でなくても、本人の意思確認ができない以上、法的には無効の可能性大。
⚠ 注意点②:「利益相反」にも注意
例:
子が後見人に選ばれた場合で、その子自身も相続人となるケース
➡ 親と自分の利益が衝突するため、家庭裁判所に「特別代理人」を選任してもらう必要があります(民法860条)。
裁判例の参考
東京高裁平成25年7月10日判決
→ 遺産分割協議に認知症の親が参加していたが、後見人を立てていなかったため、協議無効とされた。
📝 まとめ:認知症の親が相続人の場合の手続一覧
手続き項目 | 対応 |
相続人の確認 | 戸籍謄本等で確認 |
認知症の程度確認 | 医師の診断(意思能力有無) |
意思能力がない場合 | 成年後見人を申立て |
親と子がともに相続人 | 特別代理人の選任が必要な場合あり |
Comments