相続人以外の者に対する負担付遺贈(特定遺贈の場合)の課税関係 マンションをローン付きで遺贈とか🤣
- FLAP 税理士法人
- 5月28日
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負担付遺贈(特定遺贈の場合)の課税関係
1️⃣ 特定遺贈とは?
特定遺贈とは、被相続人の財産の中から特定の財産(例:A土地、B株式など)を指定して遺贈するものをいいます。
民法上、包括遺贈(一定割合の遺贈)と区別されます。
例:
「自宅の土地建物を長男に遺贈する」
「A銀行の預金1,000万円を長女に遺贈する」
2️⃣ 負担付遺贈(特定遺贈)の課税関係の全体像
📝 (1) 遺贈を受けた者(受遺者)の課税関係(相続税)
項目 | 内容 |
受遺者の課税関係 | 原則として相続税の課税対象(相続税法3条1項) |
負担部分の評価 | 負担を差し引いた後の純資産価額が相続税の課税価額となる(相続税法12条、評価通達) |
計算例 | 例:A土地1億円を遺贈、負担=残された母の扶養する義務相当額2,000万円 ⇒ 受遺者の相続税評価額は1億円−2,000万円 = 8,000万円 |
📝 (2) 被相続人側の課税関係(所得税の「みなし譲渡」課税)
項目 | 内容 |
対価性のある負担部分 | 譲渡所得税の課税対象(所得税法33条・相続税法9条) |
所得税の課税主体 | 被相続人(被相続人が死亡したため、相続人が準確定申告で納付) |
譲渡所得の計算 | 譲渡価額=負担部分の価額、譲渡所得=譲渡価額−取得費−譲渡費用 |
課税タイミング | 被相続人の死亡時(準確定申告)で課税関係が確定 |
3️⃣ 具体的な例でイメージ(特定遺贈×負担付遺贈)
📌 例:
被相続人Xが死亡。
Yに対し、時価1億円の土地を特定遺贈するが、5,000万円の住宅ローンの債務引受を負担とする。
土地の取得費は4,000万円。
📌 課税関係まとめ
税目 | 課税関係 |
相続税(受遺者Y) | 相続税評価額は1億円−5,000万円=5,000万円。これがYの相続税課税対象。 |
所得税(被相続人X) | 負担部分5,000万円について、Xに譲渡所得課税が発生。譲渡所得=5,000万円−4,000万円=1,000万円。 |
準確定申告 | Xの死亡後4ヶ月以内に、相続人がXの所得税申告(準確定申告)を行う必要あり。 |
4️⃣ 負担が譲渡所得課税を受ける理由
相続税法9条(対価を支払わないで利益を受けた場合の取扱い)により、負担部分は遺贈の対価とみなされます。
遺贈の負担部分は「経済的利益を受けたことの対価」であり、譲渡とみなされ、被相続人側で譲渡所得課税がされます。
これは「贈与の仮装による譲渡」「有償譲渡の仮装」の性質があるためです。
5️⃣ 包括遺贈との違い
包括遺贈の場合、受遺者は相続人と同じ地位で包括的に権利義務を承継するため、負担部分も含めて相続税のみの課税(譲渡所得課税なし)。
特定遺贈の場合は、負担部分が「対価性」を持つため、みなし譲渡課税が生じます。
まとめ(負担付特定遺贈の課税関係)
項目 | 課税対象 | 課税時期 | 課税主体 |
遺贈を受けた者(受遺者) | 相続税(遺贈財産の価額−負担価額) | 相続開始時 | 受遺者 |
被相続人側(負担部分) | 所得税(譲渡所得課税) | 相続開始時(準確定申告) | 被相続人(相続人が申告) |
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