【贈与税】不動産の贈与を取り消した場合の贈与税の取り扱い
- FLAP 税理士法人
- 6 日前
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不動産の贈与を取り消す場合には、民法上の契約の取消・解除のルールおよび、登記や贈与税の扱いにも注意が必要です。以下に、不動産贈与の取消に関する重要なポイントを整理して解説します。

不動産贈与の取消とは?
■ 基本的な構造
不動産の贈与は、原則として「書面による契約」および「登記」によって効力を持ちます。そのため、贈与後に「やっぱり取り消したい」となった場合でも、契約上の取消原因が必要です。
1. 民法上の取消・解除が認められるケース
取消理由 | 内容 | 備考 |
錯誤(民法95条) | 本人の認識に重大な誤りがあった | 「贈与したつもりがない」など |
詐欺(民法96条) | 相手方の不正行為で意思決定 | 虚偽説明など |
強迫(民法96条) | 強制的に意思表示させられた | 恐喝・精神的圧力など |
意思能力欠如 | 認知症などで判断能力が欠如していた | 医師診断書などの証拠が必要 |
書面によらない贈与(民法550条) | 書面を作らず履行前の場合、自由に取消可能 | 不動産贈与は通常書面ありなので該当しにくい |
2. 登記の取消(名義を戻す)にはどうする?
贈与契約を取り消しただけでは、登記は自動で戻りません。名義を元に戻すには以下の方法があります。
■ 方法1:当事者間で合意 → 所有権移転登記をする
贈与者と受贈者が合意し、「所有権を元に戻す登記申請」を共同で行う
「贈与契約取消による登記原因証明情報」などが必要
■ 方法2:裁判で取消を主張して勝訴 → 登記手続の命令を得る
受贈者が同意しない場合、裁判で取消を主張し、勝訴判決によって登記手続を請求
判決確定後、「判決による登記原因」に基づき一方申請も可能
3. 贈与税との関係
不動産の贈与により名義移転があれば、受贈者に贈与税が課税されます(課税時期:贈与年)
ただし、贈与が「錯誤・詐欺等により無効だった」ことが認められれば、更正の請求により贈与税の取消が可能
「一旦成立した贈与を後日解除」した場合は、贈与税の課税は有効のままになることが多い
⚠ 注意点と実務対応
項目 | 実務ポイント |
登記の有無 | 登記が済んでいるか否かで法的対応が変わる |
税務上の時効 | 贈与税の更正の請求は原則5年以内(特例で6年) |
証拠の重要性 | 取消原因(認知症、詐欺など)を証明する書面・証拠が必要 |
専門家相談 | 弁護士・司法書士・税理士への相談が推奨される |
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