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【住宅ローン控除】財産分与により住宅を取得した場合

  • 執筆者の写真: FLAP 税理士法人
    FLAP 税理士法人
  • 23 時間前
  • 読了時間: 4分

こんばんわ、大阪、神戸、東京の相続税に強い、相続税専門の税理士法人FLAPです。


【住宅ローン控除】財産分与により住宅を取得した場合は、要件を満たせば適用することができます。


【参考】財産分与により住宅を取得した場合

民法上の位置づけ(財産分与とは)

離婚に伴う財産分与は、民法768条に基づき、婚姻中に築いた共有財産の清算、扶養的要素、慰謝料的要素を含むことがあります。


一方的に贈与されたのではなく、あくまで離婚に伴う清算的な性格を持つものとされることが多いです。


税法上の取扱い

(1)譲渡所得課税の問題(元の所有者=譲渡者)

住宅の所有者が離婚相手に対して住宅を財産分与として移転した場合、


通常は譲渡所得税の対象とならない(所得税基本通達33-1の7参照)。


ただし、「財産分与に名を借りた贈与」とみなされると、譲渡とされ課税対象になります。


判例でも、離婚に伴う財産分与は、課税上、譲渡所得の課税対象にならないとされたものが多く見られます(例:最判昭和63年4月21日)。


(2)受贈者側(取得者側)の贈与税の課税有無

原則として、財産分与は贈与税の課税対象外(相続税法21条の3第1項ただし書)。


ただし、分与の額が過大(例えば他方の寄与や扶養義務を無視して過大な分与)と認められると、その過大部分は贈与とされ課税される可能性あり。


(3)不動産取得税・登録免許税

不動産取得税:課税されます(ただし軽減措置あり)。


登録免許税:所有権移転登記に際し課税(財産分与による場合、登記原因が「財産分与」とされる)。


実務上の注意点

財産分与契約書を明確に作成しておくこと(慰謝料的性格、贈与的性格を持たせない)。


財産分与の対象物件が住宅である場合、住宅取得資金贈与の特例などは原則使えません(離婚に伴う分与は対象外)。


所有権移転登記をする際、登記原因が「財産分与」であることを明記すると、税務署でも贈与との区別がしやすくなります。




住宅ローン控除が適用できるかどうか

一定の要件を満たせば、財産分与によって取得した住宅でも住宅ローン控除の適用は可能です。

ただし、以下のような条件に注意が必要です。


✅ 住宅ローン控除の要件(簡略版)

住宅ローン控除を受けるには、以下の主な条件を満たす必要があります

(所得税法第41条等):


■自分が自己の居住の用に供する住宅であること


■住宅の登記上の所有者であること


■住宅取得にかかる借入金(住宅ローン)について、本人が返済義務を負っていること


■住宅の新築、取得、増改築等が要件に該当すること


■合計所得金額等が基準以下(現行:2,000万円以下 など)


✅ 財産分与で取得した場合の注意点

①「取得」かどうか?

財産分与による取得は、所得税法上の「取得」には該当すると解釈されており、

過去の通達・裁決事例でも、原則的には住宅ローン控除の対象となり得ます。


② 住宅ローンとの関係

元々の住宅ローンが名義人のまま残っている場合(=住宅ローンの債務者が元配偶者)は、

 新たに取得した人(=財産分与を受けた側)は、ローンを負担していない=住宅ローン控除の対象外です。


👉つまり、「自己が返済義務を負う借入金であること」が極めて重要です。


よくあるパターンと判断

ケース

控除の可否

補足

元夫婦の名義だった住宅を離婚で一方に譲渡し、その人がローンを引き継いだ(債務者変更済)

住宅ローン控除適用可能(要件を満たせば)

住宅の名義だけを変更し、ローンは元配偶者名義のまま

×

控除不可(債務者ではない)

財産分与を受けた人が、新たにローンを組んで相手の持分を買い取った

通常の住宅取得と同様に扱われる


✅ 参考裁決・通達

国税庁「質疑応答事例」や、国税不服審判所の裁決でも、「債務者本人でなければ住宅ローン控除は受けられない」という判断が一貫しています。


また、過去に裁決で、「離婚により住宅を取得したが、債務引き受けがなく控除対象とならなかった」事例もあります。


✅ 実務上のポイント

ローンの債務者変更(引き受け)を金融機関と契約で確実に行うこと


住宅の登記上の名義も確実に移転すること


住宅ローン控除を申告する際、取得原因を「財産分与」と記載して問題なし(税務署も把握しています)

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