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【税理士損害賠償事例】個人資産に関する税務顧問契約及び相続税対策を内容とする税務相談契約は存在しないし、税理士法人の社員税理士に注意義務違反はないとして損害賠償請求が棄却された事例

  • 執筆者の写真: FLAP 税理士法人
    FLAP 税理士法人
  • 4 日前
  • 読了時間: 2分


🌿 判示事項の要点まとめ
項目
内容
事案の概要
原告(相続人)が税理士法人Y1および税理士Y2に対し、相続税対策の誤った助言を受けたため過大な相続税を負担したとして、債務不履行および不法行為に基づく損害賠償を請求した事案。
原告の主張
税理士Y2が、相続税対策として不動産購入時の名義に関して誤った助言をし、それに基づき行動したため、過大な相続税を負担したと主張。
裁判所の判断
- 税務顧問契約の成立を否定(個人資産の税務顧問契約は成立していない)。

- 相続税対策としての具体的な相談や助言を受けた事実は認められない。

- 一般的な税務相談の範囲内の説明であり、税理士としての注意義務違反は認められない。

- 税理士が積極的に有利な方法を提案する義務はない(税理士法第1条の趣旨)。
結論
原告の請求はすべて理由がなく棄却。

(税理士の説明内容は一般論の範囲内で誤りではなく、注意義務違反はないとされた)。
重要なポイント
- 税理士の助言義務の範囲は、税理士法第1条の趣旨に基づき、納税義務の適正な実現に資する範囲に限定される。

- 個別の有利な節税方法まで提案する義務まではない。

- 顧問契約・相談契約の成立には明確な合意が必要であり、漠然とした相談では契約関係は認められない。
判決日
令和4年4月19日
コード番号
Z999-0180

🌿 この事案の教訓
  • 税理士に対して「節税のための助言義務がある」と一方的に期待するのは危険であり、具体的な顧問契約や相談契約が明確に成立していることが必要。
  • 税理士の責任は一般論の説明にとどまる場合には問われない。
  • 不動産の購入名義や相続税対策の意思決定は、原則として自己責任で行うべきであり、税理士の助言があっても「慎重な検討」が求められる。

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