【相続税】道路より高い雑種地の評価/宅地比準方式・「土止費の控除」の可否裁決日:令和4年9月5日
- FLAP 税理士法人
- 4月18日
- 読了時間: 2分
道路より高い土地でも土砂の流出の危険性があれば、擁壁費控除できるとした事例

【概要】
1.事案の概要
甲が相続した土地(本件土地)について、当初は「財産評価基本通達(評価通達)」に基づいて相続税申告を行ったが、後に不動産鑑定士による鑑定評価額(より低額)での評価を主張して更正の請求をしたところ、税務署(原処分庁)に却下されたため、その取消しを求めたもの。なお、甲の死後は相続人の乙が審査請求人となった。
2.原処分庁の主張
・土地が道路面より著しく高い位置にあるとは明確ではなく、
・仮に高い位置にあったとしても擁壁(=土止費)を必要とするとは言えない、という立場。
3.審判所の判断(擁壁の必要性について)
・本件土地は周囲の道路より0.6~1.0m程度高い位置にあり、土砂の流出も確認される。
・よって、宅地に転用するには擁壁の設置が通常必要=土止費控除が相当と認められる。
4.評価額の再算
・評価通達に基づき、擁壁設置費用を控除して再計算した結果、18,234,127円が適正と判断。
5.鑑定評価額と特別の事情の主張について
・請求人(乙)は、不動産鑑定士による鑑定評価額(15,000,000円)こそが時価と主張。
・また、評価通達20-2(地積規模の大きな宅地の評価)を本来適用すべき土地だが、指定容積率の要件を満たさないという形式的な理由で除外されるのは不合理であり、特別の事情に該当すると主張。
審判所の判断
・たとえ形式的要件に合致しないことが不合理に思えても、それ自体が評価通達の合理性を否定する理由とはならない。
・不動産鑑定評価も含め、評価通達に従わないべき「特別の事情」は認められない。
.結論
・審判所が認定した18,234,127円は、本件土地の客観的な時価として適正であり、請求人の主張は認められない。
裁決日:令和4年9月5日
Komentarze