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【相続税】無利息の預り保証金及び敷金に係る債務控除 額面では控除できません 裁決平19年4月26日

  • 執筆者の写真: FLAP 税理士法人
    FLAP 税理士法人
  • 4月30日
  • 読了時間: 2分



争点

相続税計算上、無利息で預託されている保証金・敷金(本件各保証金等)に係る返還債務を、相続財産から控除する際の金額の評価方法が争われています。

原処分庁は「元本額から経済的利益の額を控除した金額」が正しいと主張し、請求人らは「元本額全額」を控除すべきと主張しています。


判断の要旨

相続税法の解釈


相続税の課税価格は、取得財産の価額から被相続人の債務と葬式費用を控除した額

取得財産は「相続開始時の時価」、債務は「相続開始時の現況」で評価

債務についても相続開始時の経済的価値を客観的に評価すべき



無利息債務の評価原則

金銭債務の金額がそのまま控除額になるわけではなく、利率や弁済期等の条件によって個別評価が必要

無利息債務の場合、相続人は通常の利率による利息相当額の経済的利益を享受する

よって、無利息債務の評価額は「元本額−経済的利益の現在価値」とするのが相当



本件への適用

  • 本件各保証金等は弁済期未到来の無利息債務(弁済期は16年〜47年後)

  • 通常の利率は基準年利率3.0%が相当

  • 控除額は「元本額×基準年利率の未経過期間に対応する複利現価率」が適切

よって原処分庁の主張が正当



請求人の主張への反論

未実現利益を課税対象としているのではなく、相続開始時における債務の経済的価値を適正に評価しているもの


結論

原処分を取り消すべき理由はない。


参考 適用する基準金利

平成18年10月31日裁決

本件敷金のような長期無利息債務の評価に用いる利率は、統一的な指

標となり得る長期金利等を基準として求めるのが相当であり、


当該利率

については代表的な長期の金融資産である

  • 長期国債(10年)の応募者利回りと

  • 長期貸出金利として公表されている長期プライムレート


を参考

にし、本件相続開始日以前10年間のこれらの平均値を基に、評価の安

全性に配慮して求めることが合理的であると認められる。

平成4年1月から平成14年12月までの長期国債(10年)の応募

者利回りと長期プライムレートの各月の利率の推移は・・・

のとおりであり、本件相続開始日以前10年間のこれらの平均値は、別

表5のとおり年3.04%となり、原処分庁が年3.0%としたのは相

当と認められる。

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