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【相続税】保証債務額の債務控除の可否に関する裁決事例(平成8年12月11日裁決)保証債務は、相続税の債務控除に計上できるかどうか?

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    FLAP 税理士法人
  • 2 日前
  • 読了時間: 2分

🌸 保証債務額の債務控除の可否に関する裁決事例(平成8年12月11日裁決)
🎓 争点の概要

相続人らは、被相続人(A)の死亡時における保証債務額を、相続税法上の「債務控除」の対象となる「確実と認められる」債務(相続税法13条、14条)として申告。


しかし、税務署はこれを否認。審判所では、債務者の弁済不能状態の有無が判断の争点となった。


⚖️ 審判所の判断基準

項目

内容

債務控除の可否

相続税法14条1項に基づき、「確実と認められる」債務である必要がある。

保証債務の債務控除要件(通達14-51)

以下の両方を満たす必要あり:


① 債務者が弁済不能で保証債務者が代わりに履行する義務があること。


② 求償権を行使しても、返済見込みがないこと。

審判所の具体的判断

- 債務者の状況:債務超過状態は継続していたが、


 → 事業閉鎖、強制執行、破産、会社更生等の法的手続きは未了


 → 債務者は銀行に滞りなく返済し、追加融資も受けていた



 → 弁済不能状態とは認められない



 → 保証人(被相続人)の履行義務が「確実」とは言えない

結論

保証債務は相続税の債務控除対象には該当しないと判断(控除不可)。


📌 実務上のポイント

ポイント

内容

債務者の「弁済不能」状態の立証がカギ

単なる債務超過状態では不十分。破産申立、事業閉鎖、強制執行等の明確な外形事実が必要。

保証債務控除は極めて限定的

原則として保証債務は債務控除できない。通達14-51の要件を満たす場合に限られる。

事業継続中での保証債務控除は困難

たとえ赤字や債務超過であっても、事業継続や返済実績があれば「弁済不能」とは判断されにくい。

証拠書類の準備が重要

事業閉鎖通知、破産手続開始決定、競売記録等、客観的証拠の有無が決定的。



📝 結論まとめ
  • 債務者が事業閉鎖や強制執行等を受けていない場合、保証人の保証債務は「確実と認められる債務」に該当しない

  • よって、相続税の計算上、債務控除の対象とならない。

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