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【相続税】市街地農地等の宅地造成費について控除することはできないとされた事例

  • 執筆者の写真: FLAP 税理士法人
    FLAP 税理士法人
  • 4月17日
  • 読了時間: 2分

【裁決要約】相続財産の市街地農地評価における宅地造成費控除に関する争い(R05.03.07)


概要

相続税の申告において、請求人らは市街地農地等の評価に関し、宅地造成費(地盤改良費・整地費・土止費等)の控除がされていないとして更正の請求を行った。


原処分庁は一部を認めたが、請求人らはなお不服として、処分の一部取消しを求めた。


主な争点と裁決の要点

① 地盤改良費の控除

主張:地盤が弱く、液状化の可能性が高い地域であるため、地盤改良費を控除すべき。


裁決:却下。

 → 地盤改良費控除の要件である「湿田など軟弱な表土」との比較が不十分であり、地盤の軟弱性が明確に証明されていない。


② 土止費の控除

主張:隣接地との境界にある擁壁は第三者所有であるため、新たな擁壁構築が必要。


裁決:却下。

 → 擁壁の効用・耐久性に問題は見られず、土止め効果もある。第三者所有だけで再構築の必要性は認められない。


③ 整地費の控除

主張:土地表面が歩道より低く、凹凸があり整地が必要だった。


裁決:却下。

 → 相続開始時点で、整地を要するほどの凹凸があったとは認められない。


④ 角地評価に関する路線の扱い

主張:建蔽率の緩和がなく、間口も狭いため、角地としての評価(側方路線影響加算)は妥当でない。


裁決:却下。

 → 建蔽率の緩和がなくても、南側路線と南東側路線からの影響で地価が高くなると考えられるため、評価は妥当。


結論

請求人Aの審査請求:棄却(更正処分は適法)


請求人Bの審査請求:却下(請求利益なし)

項目

評価基準の適用

論点の本質

地盤改良費

客観的証拠が必要(軟弱さの度合い)

単なる地域性ではなく、地質の具体的証明がカギ

土止費

擁壁の実効性が重要

所有者ではなく機能の有無が評価要因

整地費

視認できる凹凸の有無

見た目・勾配の程度ではなく実質的な工事の必要性

路線価

建蔽率緩和の有無≠角地評価の妥当性

土地の利便性全体からの加算評価が基本


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