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【相続税】市街地山林の評価/「特別の事情」有無/純山林比準方式の適用の可否について R4.2.28裁決

  • 執筆者の写真: FLAP 税理士法人
    FLAP 税理士法人
  • 4月18日
  • 読了時間: 2分

この裁決は、相続財産である市街地山林の評価額の算定方法をめぐって争われた事案であり、評価通達に基づく評価が妥当であるした事例



概要

争点

被相続人(亡甲)は、市街地山林(約1,015㎡)の評価額として、不動産鑑定士の鑑定評価額(3,650,000円)を「時価」と主張し、更正の請求を行った。


原処分庁(税務署)は、評価通達に基づく評価額の方が高額であるとして、鑑定評価を否定し、更正の一部を認めなかった。


相続人(請求人ら)が、この原処分の一部取消しを求めて審査請求。


請求人の主張

本件係争地は、


急傾斜地(約25.6度)で一部に池があり、


宅地転用ができない、


たとえ宅地転用が可能でも、


生産緑地の解除による税負担、


接道義務や通路開設・建物取壊費用、


境界確定・分筆費用などがかかり、


経済合理性に欠けるため、評価額は不動産鑑定額が妥当と主張。


審判所の判断

評価通達が優先される原則

 → 通達の評価方法による金額が高くても、それだけで通達適用除外の「特別の事情」とはならない。


宅地転用ができない場合の評価(通達49)について  

宅地転用ができない場合は純山林比準方式による評価が可能だが、今回の土地は、

経済合理性が失われるほどの費用がかかるとはいえない


池の存在や傾斜もあるが、宅地造成が不可能なほどではない

 → 宅地転用の見込みがない土地とは認められない。


不動産鑑定評価の扱いについて  → 評価通達による評価が合理的であり、鑑定評価額をもって通達による評価を否定する理由にならない。


結論

本件市街地山林の評価は、評価通達に基づいて行うのが相当であり、不動産鑑定による評価額は採用されない。


よって、原処分庁の減額更正処分(=一部認めなかった判断)は妥当であり、請求人の主張は認められず、審査請求は棄却された。

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