【所得税】給与か外注費かの違い 税務調査で指摘されないために
- FLAP 税理士法人
- 5月12日
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1.定義の違い
(1)給与所得(所得税法28条1項)
雇用契約等に基づく役務提供の対価(時間拘束の弁償)
特徴:
指揮命令に服する労務
時間的・空間的拘束あり
生活給(家族手当等)も含む
(2)事業所得(所得税法27条)
自己の計算と危険で独立して営む営利的業務から生ずる所得
要件(判例に基づく):
独立性
営利性・有償性
反復継続性
社会的地位
2.所得区分判断の視点
(1)「自己の危険と計算」
役務の成果が成立しなければ報酬請求不可 → 事業所得
費用自己負担(旅費・備品等) → 事業所得の要素
(2)「空間的・時間的拘束」
特定の場所・時間での勤務義務 → 給与所得の要素
【参考判例】昭和56年4月24日最高裁判決:弁護士の顧問料は勤務拘束なし → 事業所得
(3)「非独立的・従属的労働」
指揮命令に従って働く → 給与所得
自主的に工程管理・方法選択 → 事業所得
3.実務的な判定要素
判定要素 | 給与所得 | 事業所得 |
他人による代替可否 | 不可 | 可能 |
指揮監督の有無 | あり | なし |
未引渡し完成品の滅失時 | 報酬請求可能 | 報酬請求不可 |
材料・用具の提供者 | 雇用主 | 所得者自身 |
成果主義 vs 労務対価 | 労務の提供に基づく | 成果の完成に基づく |
4.まとめ(実務上の注意点)
所得区分は形式(契約書の名称など)ではなく実態で判断
各要素を総合勘案して判定
納税者と支払者双方の証言・契約内容・報酬の支払実態・労務の実施状況などを踏まえて、国税当局や裁判所が最終判断を下す
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