【借地権の相続放棄】解体費用が払えない場合
- FLAP 税理士法人
- 6 時間前
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亡くなった父が借地権付き木造住宅を購入し、住んでいました。
利用することがないため、地主さんに相談したところ、
建物を解体し、更地で返還してほしいと言われました。
解体費用がないのですがどうすればよいでしょうか?
という相談です。

結論
相続放棄をすれば、原則として借地契約も借地上の建物も承継せず、
それに伴う解体費用の負担も相続人には生じません。
ですが、実際には以下のような注意点や例外的な問題が発生し得ます。
🔹 借地・建物に関する基本関係
被相続人が借地契約に基づいて土地を借り、その上に建物(持ち家)を所有していた場合、
相続人が相続放棄をすれば、借地権も建物の所有権も相続せず、当事者でなくなる。
🔸 問題となるパターン:
地主から「建物の撤去を求められる」ケース
地主がこう言ってくることがあります:
「相続人なんだから、建物を解体して更地に戻してほしい」
重要なポイント
相続放棄をすれば、相続人は最初から相続人でなかったことになる(民法939条)
➡ よって、建物の所有者でも借地権者でもなくなる
➡ 解体義務も本来は負わない
⚠ ただし注意点①:
事実上の管理・処分をするとNG
例えば:
建物に立ち入ったり、
建物を誰かに貸したり、
相続人名義で固定資産税を支払ったり、
➡ すると、「相続の単純承認」とみなされて相続放棄が無効になる可能性があります(民法921条)
⚠ 注意点②:放棄後の建物が「無主物」状態になる
相続放棄した結果、建物が誰の所有でもなくなり、無主物(民法239条)となると、
地主としては「自分の土地に他人の建物がある」という状態が続いてしまうため、
地主が自費で解体し、その費用を旧相続人に請求してくる例があります。
ただし、
放棄が適法で、単純承認の事実がなければ、解体費用を請求されても法的責任は負いません。
実務での対応アドバイス
相続放棄をする前に建物等を一切処分しないこと
地主に「放棄したため、責任を負えない」旨を文書で通知
地主と連絡を取り合う場合でも、「所有者としての行動」は取らないよう注意
建物の明渡しや撤去についてトラブルが見込まれる場合は、司法書士・弁護士に相談
まとめ
状況 | 相続放棄後の責任 |
借地・建物を相続放棄した | 一切相続しないため、原則責任なし |
放棄後に建物を処分・使用した | 単純承認とみなされ、責任発生の可能性あり |
地主が建物の解体を行った | 放棄が有効なら費用負担義務はないが、交渉リスクあり |
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