【令和5年4月12日裁決】小規模宅地の特例~アパートに2か月間の空室があった場合でも使えない?
- FLAP 税理士法人
- 2024年12月3日
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相続税の財産評価を行うにあたって、
アパートについては
土地は借地権割合や借家権割合を控除してさらに
賃貸割合を考慮して貸家建付地、
建物は借地権割合を控除してさらに賃貸割合を考慮して評価します。
概要
本事例は、
相続開始時が令和元年9月
アパート8室のうち相続開始日において
5室が空室だったところ、
小規模宅地の特例については、
「賃貸割合」を乗じて計算するとは規定されていないことから
8室すべてについて
小規模宅地の特例を適用したことについて
空室部分については
適用できないとされた。

審判所の判断
小規模宅地の特例について
貸付事業用宅地に該当するか否かは
❶原則
相続開始時において
貸付られていたかどうかで判断するが
❷一時的に空室であった場合も
貸付られていたものとして
小規模宅地の特例を適用できる旨を規定している。
■一時的空室であった場合とは
相続開始時において賃貸契約が終了し、空室であったとしても
引き続き賃貸される具体的な見込みが客観的に存在し、
現に賃貸契約終了から近接した時期に
新たに賃貸契約が締結されたなど、
相続開始の前後の賃貸状況等に照らし、
実質的に賃貸されていたのと同視し得るものでなければならない
としている。
【アパートの賃貸状況】

検討
●102号室、202号室、203号室の3部屋は4年半年以上空室であるため、貸付られているとは認められない。
●201号室は、相続開始時前の2か月空室 申告期限までも空室
●205号室は、相続開始時前の5か月空室 申告期限までも空室
と期間は短いが次の理由で貸し付けられていたものとは認められなかった。
①不動産業者がこのアパートの入居者を仲介した実績がない
②入居者募集の広告はしていたが、掲載は自動継続のため、積極的に入居者募集を行っていたとはいえない
③申告期限をみても新たな入居者はなく空室のままであった。
として空室が2か月、5か月についても一時的に空室であったと認めれらないとして
小規模宅地の特例を適用できないとした。
<参考>
「継続的に賃貸されてきたもので、課税時期において、一時的に賃貸されていなかったと認められる」部分に該当するかどうかは、
その部分が、
❶各独立部分が課税時期前に継続的に賃貸されてきたものかどうか、
❷賃借人の退去後速やかに新たな賃借人の募集が行われたかどうか、
➌空室の期間、他の用途に供されていないかどうか、
➍空室の期間が課税時期の前後の例えば1ケ月程度であるなど一時的な期間であったかどうか、
❺課税時期後の賃貸が一時的なものではないかどうかなどの事実関係から総合的に判断します。
国税庁:貸家建付地等の評価における一時的な空室の範囲
国税庁:共同住宅の一部が空室となっていた場合の小規模宅地の特例の計算
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