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【相続税】被相続人の相続財産のうち    同族会社に対する貸付金債権を0円で申告→3億7千万円が適法とされた事例

  • 執筆者の写真: FLAP 税理士法人
    FLAP 税理士法人
  • 2 日前
  • 読了時間: 2分

 この裁決文(判決)は、相続税評価における貸付金債権の評価をめぐる争いであり、特に財産評価基本通達205(回収不能等による0円評価)の適用可否が中心的な争点です。

以下に要点を整理します。


【事件の概要】

被相続人(亡甲)から相続した原告が、株式会社A(本件会社)に対する貸付金債権について、財産評価基本通達205を根拠に評価額を0円と申告


しかし税務署(処分行政庁)は、評価通達204(通常の貸付金債権の評価)を適用し、相続時点の残高である3億7029万5000円を評価額とし、更正処分等を実施。


原告はその更正処分の取消しを求めて提訴。


【判示事項・裁判所の判断】

評価通達205の適用可否の検討


通達205(1)に列挙された事由(破産手続開始など)に該当しない。


「その他その回収が不可能又は著しく困難であると見込まれるとき」(柱書)にも該当しないと判断。


事業の実態と回収可能性の検討


本件会社は相続開始時点で現に事業継続中(ホテル等の運営)であり、「6ヶ月以上休業」等の要件にも該当しない。


相続開始後もしばらく事業継続、倒産手続をとることもなく清算結了していることから、経済的破綻状態とは認められない。


原告の主張(収入源乏しく、回収困難)について


回収可能性が低くても、それだけでは205の趣旨にいう「経済的破綻」と同視できない。


経済的破綻が「客観的に明白」である場合に限り、通達205を適用すべきと明示。


【結論】

本件貸付金債権は評価通達205の適用対象とはならず、評価通達204に基づき残高で評価した税務署の処分は適法とされた。


【法的ポイント】

通達205の柱書の適用には、列挙事由と同程度の経済的破綻状態が客観的に必要。


「返済困難」と「経済的破綻」は別概念と整理され、裁判所は形式的な「困難さ」ではなく、実質的・客観的な破綻性を重視。


倒産手続に至らずに清算したことも、経済的破綻の否定要素として判断された点に注目。

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