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【相続税】小規模宅地等 アパートの共貸室の一部が空室であったことは、一時的に賃貸されていなかったものとは認められないため、小規模宅地等の特例の適用はないとした事例(令05-04-12公表裁決)

  • 執筆者の写真: FLAP 税理士法人
    FLAP 税理士法人
  • 4月17日
  • 読了時間: 2分

小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例) 相続開始時に共同住宅の貸室の一部が空室であったことは、一時的に賃貸されていなかったものとは認められないため、その敷地の当該空室に対応する部分(8室中5室空室)は、貸付事業用宅地等に該当せず、小規模宅地等の特例の適用はないとした事例(令和元年10月相続開始に係る相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・棄却・令05-04-12公表裁決


この事例は、相続税における「小規模宅地等の特例」の適用可否が問題となったものです。具体的には、空室となっていた貸室部分の土地が「貸付事業の用に供されていた宅地」に当たるかどうかが争点です。


以下、ポイントを整理・要約します。


概要

被相続人が所有していた8部屋ある共同住宅のうち、


相続開始時点で5部屋が空室(以下「本件各空室部分」)。


被相続人は「貸付事業に供していた宅地」として、敷地全体に小規模宅地特例の適用を主張。


主な根拠は:


空室でも建物全体は貸付事業用で維持管理されていた。


ネットで空室募集していた。


判断のポイント

●【3部屋】長期空室部分

空室状態が長期継続しており、


「一時的な空室」ではなく、


「相続開始時に貸付事業に供されていたとは認められない」。


●【2部屋】短期空室部分

ネット上では広告は掲載されていたが…


▼広告掲載が形式的だったと認定された根拠:

媒介契約を結んでいた不動産業者が、共同住宅の入居実績ゼロ。


不動産業者は平成27年以降、空室状況を把握していなかった(連絡が取れなかった)。


広告も「オーナーから申し出がない限り継続される方式」。


結果、広告や媒介契約の実態は「放置されていた」に過ぎず、


積極的な入居者募集とは評価できない。


相続税申告期限までにも入居実績なし(空室のまま)。


結論

本件各空室部分(5部屋)は、


いずれも「貸付事業に供されていた宅地」とは認められない。


よって、


小規模宅地等の特例の適用対象外とされた。


◆《参考条文等》

租税特別措置法 第69条の4(小規模宅地等の特例)

同施行令 第40条の2 第4項

通達:69の4-24の2(貸付事業の実態に関する通達)


◆《参考裁判例》

東京地裁 平成6年7月22日判決


大阪地裁 平成28年10月26日判決

※いずれも、「空室が長期に及ぶ場合は特例の適用外」とされたもの。

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