top of page

【相続税】名義預金等は、被相続人に帰属する相続財産に該当し、相続開始前3年以内の贈与財産として相続税の課税価格に加算されるとされた事例 裁決令03-12-15

  • 執筆者の写真: FLAP 税理士法人
    FLAP 税理士法人
  • 4月18日
  • 読了時間: 2分

この裁決は、名義上は相続人(請求人)に属する預金等が、実質的には被相続人の財産であるとして、相続財産に含まれると判断された事案です



概要

1.争点

請求人の姉が死亡し、相続税の課税処分が行われたが、原処分庁は、請求人名義の預金等を相続財産に含めて課税。

→ 請求人は、「それらは自分自身の財産であり、相続財産に該当しない」と主張し、課税処分の全部取消しを求めた。


2.判断の基準

預貯金や有価証券は原則として名義人のものだが、

 → 家族名義を使って管理・運用される例も多く、

 → 名義だけでなく、出捐者・管理運用の状況・贈与の有無等を総合的に判断すべき。


事実認定(要点)

●被相続人の資産状況

生涯にわたって安定した収入・年金(合計約1億円以上)。


請求人に比べ、資金力・貯蓄力が高い。


●請求人の資産状況

生涯収入は約3,600万円程度。


それにもかかわらず、マンションの購入資金(約2,900万円)や約8,000万円の預金などを保有。

 → 請求人の収入からは説明困難な蓄財状況。


判断

●本件預金等の性質

名義は請求人だが、


原資は被相続人の財産と推認され、


被相続人が管理・運用を任せていた。


贈与の証拠もなし。


よって、実質的に被相続人に帰属する財産と判断。


マンション購入資金(本件入金額)について

原資は被相続人名義の定期預金 → 請求人口座へ振込 → マンション代として使用。


返還されていないため、贈与が成立したとみなされる(相続税法第9条)。


法的評価

上記入金は、相続開始前3年以内の贈与に該当(相続税法第19条1項)。


よって、相続税の課税価格に加算すべき財産。


結論

請求人名義の預金等・入金額は、実質的に被相続人の財産または贈与財産として、  

→ 相続税の課税対象に含まれるのが妥当。


原処分(課税処分)は適法であり、

 → 請求人の取消し請求は棄却。


【裁決日】

令和3年12月15日


【ポイント解説】

この裁決で重要なのは以下の点です:


「名義」と「実質」の乖離をどう見るか

名義人が相続人であっても、資金の出どころや管理状況、贈与の実態がなければ、「名義預金」として課税対象になります。


「贈与」と認定されるタイミング

本件のように、相続開始3年以内に対価なしで財産移転があると、相続税に組み込まれます(相続税法9条、19条)。


「名義預金」の問題は、相続税の調査で最も多い論点の一つです。

댓글


bottom of page