行政書士と司法書士の業務範囲の違いについて

行政書士と司法書士は、どちらも法律に関する書類作成などの業務を行うとても優秀な国家資格者ですが、業務の性質・対象・法的効果が大きく異なります。以下に、両者の違いを分かりやすく比較して説明します。

📌 行政書士と司法書士の業務範囲の違い【比較表】

項目	行政書士	司法書士
根拠法	行政書士法	司法書士法、不動産登記法など
主な業務	官公署に提出する書類の作成・提出代理、契約書作成など	不動産登記・商業登記の申請代理、裁判所提出書類作成、一部の訴訟代理
取扱分野	行政手続（許認可）、契約、外国人関連など	登記・供託・簡裁訴訟代理など
独占業務	行政機関提出書類の作成・提出（行政書士法1条の2）	登記・供託の代理（司法書士法3条）、簡裁訴訟代理（認定司法書士）
不動産登記	✕ 不可	◯ 可能（登記申請代理ができる）
会社設立登記	✕ 不可（書類作成のみ可能）	◯ 可能（法務局への代理申請ができる）
契約書作成	◯ 可能（売買契約書など）	◯ 可能（登記目的で必要なものなど）
裁判関係書類	△ 原則不可（内容証明などの支援は可）	◯ 訴状等の作成、簡裁代理権の取得で訴訟代理も可
外国人関連	◯ 在留資格申請などの手続代理が可能（申請取次者）	✕ 対応不可
報酬の対象	書類作成、相談、提出代理など	登記代理、書類作成、簡裁訴訟代理など

よくある誤解と注意点

● 行政書士は「書類屋」、司法書士は「登記屋」

• 実務的にはそう呼ばれることもありますが、行政書士は行政機関とのやりとりが中心、司法書士は法務局や裁判所とのやりとりが中心です。

● 登記を行政書士が代行できる？

• できません。登記の代理は司法書士の独占業務です。

• 行政書士は会社設立書類などの作成は可能ですが、登記申請そのものはできません。

● 内容証明郵便の作成は？

• 行政書士も司法書士も作成可能ですが、紛争性が強い場合は弁護士の業務になります。

業務の棲み分けのポイント

分類	行政書士が強い	司法書士が強い
官公署提出書類（許認可）	✅ 行政書士	❌ 不可
不動産登記・相続登記	❌ 不可	✅ 司法書士
会社設立登記・変更登記	書類作成のみ可能	✅ 申請代理が可能
遺言・相続手続	遺産分割協議書等の作成支援	登記が伴う部分を担当
簡易裁判所の訴訟代理	❌ 原則不可	✅（認定司法書士）

まとめ

• 行政書士は 「行政機関との手続きの専門家」

  • 建設業許可、在留資格、契約書、内容証明など

  
  

• 司法書士は 「登記と裁判手続きの専門家」

  • 不動産登記、会社登記、相続登記、裁判書類など