米国の遺族年金に「相続税」がかかる?
- 6 日前
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1. 米国の遺族年金に「相続税」がかかる?
今回の事案は、亡くなった夫(己さん)の相続において、妻(戊さん)が受け取ることになった米国の遺族年金(widow's benefits)が舞台です。
税務署の主張: これは「みなし相続財産」だから、相続税の対象です!
妻側の反論: 日本の遺族年金は非課税なのに、米国のは課税されるなんておかしい!
争点: 外国の公的年金を受給する権利が、日本の相続税法上の「課税対象」になるかどうかが争われました。
2. なぜ「課税対象」と判断されたのか
裁判所は、相続税法の「みなし相続財産」という考え方を強調しました。
みなし相続財産とは: 法律上の「相続」で引き継いだものでなくても、実質的に相続と同じような利益があるなら、公平のために課税するという仕組みです。
判決のロジック: 相続税法3条1項6号には「契約に基づかない定期金(年金など)」も課税対象と書かれています。これには外国の法令に基づくものも含まれると解釈されました。
結論: 米国の規則に基づいて直接取得したこの権利は、相続税の対象になると認定されました。
3. その評価額はどうやって決まった?
受給権を「今、いくらの価値があるか」に換算する計算式が示されました。
評価の基準: 妻の余命年数、年間の受給額、予定利率を組み合わせて計算します。
具体的な計算例:
年間の受給額:19,044ドル
余命年数:24年(完全生命表より算出)
予定利率:2.6%(米国の信託基金金利)
当時の為替:106.70円/ドル
$$ 19,044 × 17.689 {複利年金現価率}× 106.70 = 3,594万円
この約3,594万円が相続財産に加算されることになりました。
4. 日本の年金との「格差」は許される?
「日本の厚生年金(遺族年金)は非課税なのに、なぜ米国のは課税されるのか?」という平等原則への疑問に対し、裁判所は次のように回答しました。
法律の違い: 日本の遺族年金が非課税なのは、日本の法律(厚生年金保険法など)に「非課税」と明記されているからです。
裁量の範囲: 外国の年金を非課税にするかどうかは、国(立法府)の政策判断に任されており、規定がない以上、課税するのは不当とは言えません。
最終結論: 課税処分は妥当であり、憲法が定める「平等原則」にも違反しないという判決が下されました。
ポイント外国の公的年金を受け取る際は、国内の年金と同じ感覚で「非課税」と思い込まず、相続税の申告対象になる可能性を考慮する必要があります。




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