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令和7年7月から実施する相続税の税務調査にAIを活用するみたいだが、どのように活用するか予測してみた

  • 執筆者の写真: FLAP 税理士法人
    FLAP 税理士法人
  • 5月28日
  • 読了時間: 3分
国税当局は令和7年7月夏から実施する相続税の税務調査などに人工知能(AI)を活用するみたいですがどうのように活用するのか予測してみました。
1. AI導入の目的と意義
  • 脱税・過少申告の発見相続税調査では、財産隠しや不適正な評価が問題となりやすい。AIは膨大なデータを解析し、申告内容の不自然なパターンを抽出可能。

  • 調査効率の向上従来の人手による選定から、AIによるスクリーニングを活用することで、リスクの高い事案を優先的に抽出。

「リスクの高い事案」とは、相続税調査において 「過少申告や申告漏れが発生しやすい」、または 「申告内容に不自然な点が見られる」 事案を指します。以下のような特徴を持つ案件が、一般的に「リスクの高い事案」とされます。

🌿 相続税調査でリスクが高いとされる事案の特徴一覧
項目
リスクが高いとされる特徴
被相続人の属性
・高齢で資産管理が困難な状態であった(認知症など)

・資産家(多額の金融資産、不動産保有者)

・法人のオーナー経営者である場合
申告内容の特徴
・現金・預金の残高が少なすぎる(生活状況や収入実態に比べて不自然)

・不動産の評価額が極端に低い

・債務控除額が大きい(特に親族間の借入)

・名義預金・名義株の可能性がある
資産の構成
・複数の金融機関・証券会社を利用しているが、申告に含まれていない

・海外資産の有無が確認されていない(CRS情報にヒット)

・生命保険金、死亡退職金が多額である
相続人の行動
・相続開始直前に多額の贈与が行われている(暦年贈与の利用など)

・相続発生後に短期間で資産を売却している(不動産や有価証券の売却益が申告されていない)
その他
・過去に税務調査で指摘を受けた経歴がある

・贈与税申告が過去に不自然に多い/少ない

・土地の評価に特殊な減額(小規模宅地特例など)が適用されているが、その根拠が不明瞭
2. AIが活用される主な場面
活用場面
具体的な内容
財産の有無・隠匿財産の発見
不動産登記情報、金融資産データ、取引履歴、海外口座情報(CRSデータ)などを横断的に分析。
相続税申告内容の異常検知
申告内容(評価額、財産構成)をAIが過去の事例と比較し、過少申告の可能性が高い案件を抽出。
関連者間の取引パターン分析
被相続人と相続人・親族間の金銭移動、不動産の売買、贈与記録を解析し、リスク指標を算出。
他の税務情報との突合
所得税、贈与税、法人税の申告情報や過去の税務調査履歴と相続税申告内容の突合。
遺産分割協議書等の内容解析
文書解析AIにより、遺産分割協議書・遺言書の内容を解析し、記載内容の不整合を検出。

3. AI活用における技術的アプローチ
技術
内容
機械学習(異常検知モデル)
申告内容と過去の税務調査結果を教師データとして学習し、異常値を抽出。
データマイニング
大量の金融・不動産・登記データを横断的に分析し、隠れた関連性を発見。
自然言語処理(NLP)
遺産分割協議書・遺言書のテキストデータを解析し、不自然な表現や誤りを検出。
知識ベース・ルールベース
税法上の評価ルールや課税要件を知識として組み込み、自動的にチェックを実施。

4. 今後の展望と課題
  • 展望
    • CRS(共通報告基準)による海外資産情報の自動取得との連携。
    • 不動産評価データ(路線価・公示価格)や金融市場データとのリアルタイム連携。
    • 相続発生前の資産移動や贈与の監視強化。
  • 課題
    • プライバシー・個人情報保護とのバランス。
    • AIモデルの説明責任(ブラックボックス問題)。
    • 法律や通達の改正への迅速な対応。

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