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【相続税】生命保険契約に関する権利/保険料負担者・代理人による贈与契約の有効性について

  • 執筆者の写真: FLAP 税理士法人
    FLAP 税理士法人
  • 4月18日
  • 読了時間: 2分

この裁決は、生命保険契約に関する相続税の課税可否をめぐって争われた事案であり、結論としては課税は不当である(更正処分は取り消される)と判断されたものです。以下に要旨をわかりやすくまとめます。



概要

1.争点

原処分庁(税務署)は、生命保険契約の権利について、「被相続人が保険料を負担していた」=「相続税法3条1項3号の“遺贈により取得したとみなされる財産”に該当する」として相続税の更正処分を行った。


これに対し請求人らは、「保険料は被相続人から贈与された現金で支払ったものであり、被相続人の負担ではない」として処分の取消しを求めた。


2.保険契約と贈与の経緯

被相続人の孫ら(請求人孫等)が、平成26年に保険契約を締結。


保険契約者・被保険者は孫たちで、保険料支払いの前に、被相続人を贈与者とする贈与契約書が作成されていた。


保険料は被相続人名義の預貯金から支出された。


3.代理権と贈与の有効性

請求人らは、「被相続人が請求人A・Bに対し包括的に贈与手続きを委任していた」と主張。


原処分庁は、「代理権授与の証拠がない」「贈与契約書に顕名がない」ことから代理行為は無効と判断。


審判所の判断

贈与契約書に被相続人の名前はあるが、代理人の表示(顕名)がない点はあるものの、

・過去に継続的に財産(株式や土地など)の贈与がされていた

・贈与の取消しや異議の事実もない

・孫たちは請求人Aが代理人であると理解していた

 などの事情から、請求人Aの代理行為は無効とはいえないと判断


被相続人が贈与の意思を持ち、代理人を通じて計画的な贈与を行っていたと認められる。


結論

贈与契約は有効に成立。


保険料は被相続人が負担したのではなく、贈与された金銭から支払われたと認定。


よって、保険契約に関する権利は「遺贈により取得したとみなされる財産」には該当しない。


原処分庁の更正処分には理由がなく、取り消されるべきである。


【裁決日】

令和4年3月2日

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